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戸籍制度と氏名

こんにちは、たまぶろぐです。

人はどのような原則に基づいて氏を名乗り、氏を変更することができるのでしょうか。

名前をつけることは、誰のどのような権利でしょうか。

戸籍とは何のために存在し、どのような仕組みになっているのでしょうか。

このようなことについてご紹介します。

目次

氏とは?

いわゆる苗字のことですね。

法律用語では氏となっていますので、今回は氏に統一して記載します。

氏の意義

明治民法において氏はの名称でした。

この氏によって、どの家に属するかということが判明し、婚姻や縁組の同意権者、扶養の権利義務、相続権などが左右されていました。

そのため、氏の異同は家の異同であることによって重要な法律上の効果を伴っていました。

しかし現行民法においては、氏の変動は法的効果を生じず、氏は個人の同一性を示す個人の呼称になりました。

ただし、夫婦同氏、親子同氏を原則としたため、氏は一定の家族関係を示し、戸籍編製の基準ともなっているため、個人の呼称の用途だけとも言えないのが現実です。

氏の取得

日本人は親子関係が基準となって出生によって氏を取得します。

  • 婚内子(結婚している両親から生まれた子)は出生時の父母の氏を称し、出生前に父母が離婚していた場合、離婚時の父母の氏を称する。
  • 婚外子(結婚していない両親から生まれた子)は出生の時の母の氏を称する。
  • 父母ともに不明な子は、市町村長が氏をつける。

と規定されていますが、子が親の氏を名乗らなければならない根拠は明らかではありません。

氏の変動

現行制度では氏は家族関係の変化に伴って当然に変わることがあります。

  1. 婚姻により、夫または妻のどちらか一方は氏を改める(民法750条夫婦同氏の原則)
  2. 養子縁組により、養子は養親の氏に改める(民法810条養親子同氏の原則)
  3. 離婚、婚姻の取消、離縁、縁組の取消により複氏する(民放767条1、749条、808条1、816条1)

氏の変更

氏は当事者の意思に基づいて変わる可能性があります。

民法による氏の変更

子が父または母と氏を異にする場合には、子は自分自身で家庭裁判所の許可を得て、父または母の氏を称することができます。

共同生活をしている親子が同じ氏を称する例が多いことから、それを希望する国民感情に応えるためだとされています。

子が15歳未満の場合は、その法定代理人が子に代わって申立てをしますが、できうる限り子の意思を確認することが求められています。

子が父または母と氏を異にする具体例として、父母の離婚による一方の複氏、死亡による生存配偶者の複氏、父母が養子になる、父母が婚姻していないなどがあります。

戸籍上の氏の変更

やむをえない事由がある場合

やむをえない事由としては、珍奇・難解な氏のほか、内縁関係で長年相手方の氏を通称として使用していた場合などです。

外国人と婚姻した場合

婚姻の日から6か月以内に限り、届出によって外国人配偶者の称している氏に変更することができます。

ただし、カタカナ・漢字などの日本文字でなければなりません。

その後、離婚や死別した場合には、3か月以内に限り、届出によって元の氏に変更することができます。

通称使用

人はペンネームや芸名などのように自己を表現したり、プライバシーを守るために戸籍上の氏との使い分けをするために、通称(戸籍上の氏名以外の呼称)をもちいることがあります。

氏名は社会的には個人を特定したり他人と識別する機能を持つと同時に、自己の人格を象徴するものであり、自己を表現するものでもあります。

したがって、自身の職業や生活環境に合わせて通称を使用することができるのです。

名前

命名

名は氏と結合して個人を識別し、その同一性を示すものです。

民法には子の名前を決める命名行為について規定は無いです。

しかし、戸籍法に父母その他を出生届出義務者と規定しているので、この義務者が命名したものが、その子の名となります。

ひらがな、カタカナ、人名用漢字表に掲載されている2,999字であれば自由に組み合わせて使用できます。

命名にはかなり自由度がありますが、社会通念上明らかに名として不適切であったり、一般の常識から著しく逸脱している場合は注意が必要です。この場合には市町村長が、審査権を発動して、名前の受理を拒否することも許されます。

父親が子供に「悪魔」という名前を命名しようとして拒否されたことがニュースにも取り上げられていましたよね。

名の変更

名については、正当な事由があれば家庭裁判所の許可を得て変更することができます。

日本では名は氏よりも個人を特定することがより容易になるため、比較的緩やかに変更が認められています。

各事項に条件はありますが、名前が珍奇・卑猥・難解である場合や性同一性障がいの場合などです。

戸籍制度

戸籍制度とは個人の家族関係や属性にかかわる事実を登録し公証する制度です。

遺産分割や相続財産の取引に際して相続人を確認したり、未成年者の法定代理人を確かめるときに必要になってきます。

戸籍の仕組み

戸籍の編製

戸籍はその市町村の区域内に本籍を定める1組の夫婦およびこれと氏を同じくする子ごとに編成されます。

1夫婦1戸籍のため、女性が未婚で子を生むとその女性は親の戸籍から除かれ、自分と生まれた子からなる新しい戸籍が編製されます。

戸籍はその筆頭に記載した者(戸籍筆頭者)の氏名・本籍で表示され、本籍は戸籍の所在地であり、日本国内であればどこでも選ぶことができます。

分籍

成年に達した者は、戸籍筆頭者およびその配偶者でなければ、自らを筆頭者として戸籍を作ることができます。

転籍

成年に達した者は、戸籍筆頭者およびその配偶者でなければ、いつでも自由に本籍地を変えることができます。

届出

家族関係の変動は原則として当事者からの届出に基づいて戸籍に記載されます。

創設的届出

婚姻・協議離婚・縁組・協議離縁・任意認知・姻族関係終了といった一定の家族関係の発生変更消滅という効果をは発生させるものです。

報告的届出

出生・死亡・裁判離婚・調停離婚・和解離婚・離縁・認知などのすでに事実の発生その他によって法律関係に変動を生じている事項を報告するものです。

報告的届出については戸籍に事実を忠実に反映させるため、届出期間内に正当な理由なく届出をしない場合、5万円以下の過料に処されます。

記載事項

戸籍に記載される内容を以下に挙げます。

  • 本籍
  • 戸籍内各人の氏名
  • 出生年月日
  • 当該戸籍に入った原因・年月日
  • 実父母の氏名及び実父母との続柄
  • 養子である場合は養親の氏名及び養親との続柄
  • 夫婦については夫または妻である旨
  • 他の戸籍から入ったものについては、その戸籍の表示

特に元の戸籍(本籍と戸籍筆頭者)が記載されていることから、これを順次たどっていくことで、祖父母・おじおば・いとこなど家族関係を全て明らかにすることができます。追跡機能があるのです。

また身分事項欄には出生・婚姻・離婚・縁組などが順次記載されるため、その人の家族関係事項を一覧することができます。

訂正

戸籍の記載が不適法または事実に反する場合には、当事者の申請または職権によって訂正します。

名前の誤記など訂正内容が軽微で、訂正が法律上重大な影響を及ぼすおそれのない場合には、利害関係人は家庭裁判所の許可を得て、戸籍の訂正を申請することができます。

訂正事項が家族関係に重大な影響を及ぼす場合には、確定判決または審判によらなければなりません。

公証とプライバシーの保護

戸籍はかつて自由な閲覧と戸籍謄本・抄本などを求めることができましたが、現在ではプライバシー保護の観点から、1976年に閲覧制度を廃止し、2007年の以下4つの法改正によって取得にも制限がかかりました。

  1. 本人の請求
  2. 第三者の請求
  3. 有資格者の職務上の請求
  4. 30万円以下の罰金刑
1.本人の請求

戸籍に記載されている者(本人)、その配偶者、直系尊属、直系卑属は戸籍の謄本等の交付を請求することができます。

実務においては、請求事由を明記させることで、不当な目的と認められる場合に、市町村長は請求を拒むことができます。

2.第三者の請求

第三者が戸籍の謄本等の交付請求をすることができる場合を3つに限定しています。

・自己の権利を行使しまたは義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合

・国または地方公共団体の機関に提出する必要がある場合

・上記2つのほか、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合

3.有資格者の職務上の請求

弁護士・司法書士・行政書士などの有資格者が職務上請求する場合についても、受任事件の依頼者について2の第三者の請求のいずれかの必要があることおよび依頼者の氏名を明らかにしなければならないとされています。

4. 30万円以下の罰金

戸籍謄本等の不正取得者は制裁として、30万円以下の罰金に処されます。

まとめ

今回は

・苗字や名前が法律としてはどのような形で定義されているか

・家族関係を公に証明するための制度である戸籍について

ご紹介していいきました。

特に行政書士として相続業務を行う場合、謄本などを請求することがでてきますので、戸籍制度についてしっかりとした知識を身につけていきましょう。

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