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相続される財産、されない財産を判断しよう

こんにちは、たまぶろぐです。

相続の対象となる財産、相続されない財産や権利にはどういったものがあるのでしょうか。

今回はどういったものが相続財産になるのかご紹介します。

目次

相続財産の範囲

相続法において、相続が開始すると被相続人の財産に属した一切の権利義務は原則として、すべて相続人が承継します。

この一切の権利義務には以下のものが含まれます。

  • 個別の動産
  • 不動産などの権利
  • 債権
  • 債務
  • 財産法上の法律関係
  • 法的地位     など

また、被相続人の死亡によって発生する権利、たとえば、財産的損害の賠償請求権についても相続されます。

相続財産に属さない財産・権利

一身専属権

被相続人の一身に専属したものは、相続されません。

一身専属権とは、個人の人格・才能や個人の法的地位と密接不可分な関係にあるため、他人がその権利を行使することが不適当なもののことです。

民法上の一身専属権

依頼によって特定のデザイナーが芸術作品を作る債務や雇用契約による労働債務、親権など

社会保障法上の一身専属権

生活保護受給権、年金受給権、公営住宅の使用権など

祭祀財産

祖先の祭祀のための財産は、相続とは別の規定によって承継されます。

祭祀財産とはこの場合、家系図や位牌、仏壇仏具、神棚、墳墓などのことです。

香典は遺族への贈与となって相続財産には含まれません。

祭祀財産は祖先の祭祀を主宰すべきものが承継します。

この祭祀主宰者は以下の手順によって決まります。

STEP
被相続人の指定

祭祀主宰者はまず被相続人の指定が優先されるので、相続人ではない内縁配偶者や生活を共にしていたパートナーなどを指定することもできます。

これには法規定がないので、指定された者は、辞退することもでき、祭祀を行わなければならないということでもありません。

また、祭祀を行ったからといって、相続上で特別な利益を得ることもありません。

STEP
指定が無い場合には慣習

慣習についてはまず、明治民法の家督相続や長子承継を意味するものではありません。

以前は墓地や霊園において、長男が墳墓を承継することを原則としていて、氏の違う者の承継を認めない規定などを定めている場合がありましたが、現在では改訂されてきています。

STEP
慣習が明らかでない場合には、家庭裁判所の審判

判例において、推測される被相続人の意思や被相続人との共同生活、愛情、祭祀財産の管理や執行状況、墳墓との物理的距離、適性などを考慮して決定することになります。

実際には相続人や親族が協議して祭祀承継者を決めますが、紛糾した場合には家裁が協議内容を踏まえ審判することとなります。

被相続人の死亡によって生じる権利で被相続人に属さない権利

死亡退職金生命保険金といった権利は相続財産とはならないとされています。

死亡退職金

死亡退職金とは公務員や民間企業の従業員が死亡した際に、勤務先から支払われる退職金のことです。

多くの職場が、遺族の生活保障を目的として受給権者を定めています。

そのため、死亡退職金は受給権者が自己固有の権利として取得するということから、相続財産に属さないとされています。

遺族年金も受給権者固有の権利のため、相続財産となりません。

生命保険金

生命保険金とは被保険者の死亡によって受取人に支払われるものです。

受取人が被保険者自身の場合には、被保険者の死亡により、その相続人が受取人としての地位を承継するため、相続財産となります。

これに対し、受取人が妻や子など相続人の中の特定の者である場合には、保険契約に基づいて取得するため、相続財産になりません。

契約上の地位の承継

考え方

お互いの信頼関係や好意に基づいて行われる契約関係において、契約上の地位は当事者の死亡によって消滅するものが多いです。

代理権、定期贈与、使用貸借、委任といった契約がこれにあたります。

難しいのが、あくまでも契約上の地位を承継できないというだけで、死亡前に権利義務が発生している場合は、相続の対象になるということです。

委任契約において受任者が死亡したら、相続人はその受任者になることはできません。(ここが契約上の地位が承継されないということ)

しかし死亡するまでにこの契約にかかわる費用が発生していた場合に、その費用を請求する権利は受任者の相続人に相続されることとなります。(権利義務を相続すること)

使用貸借の借主の地位

使用貸借とは簡単に言ってしまうとタダで貸し借りをすることです。友人から自動車を借り、使い終えたら無償で返還する契約などを指します。

使用貸借は借主の死亡によって、その効力を失います。

そのため、借主の死亡後は相続人は借主とはならないのですが、家屋および敷地の使用貸借について、個人的関係を考慮して借主の相続人に借主としての地位を承継させる判例もあります。

これは貸主と借主に親子同然の関係があって、借主の家族と長年同居していたとされ、特別な人間関係があったとされた場合です。

賃貸借の借主の地位

土地・家屋の賃借権については権利義務のため、相続の対象となり、借主の地位は相続人に承継されます。

保証債務

身元保証

身元保証については、

  • 個人的信頼関係に基づいて契約されること
  • 保証人が予想外の負担を負うリスクがあること

などから保証人の責任を制限する法律があります。

また、判例でも身元保証契約について相続されないとしています。

信用保証

継続的な取引から生じる債務を個人が包括的に保証する信用保証、いわゆる根保証については、限度額や期間の定めがない場合に、保証人の死後に発生した債務について、相続人は保証債務を負担しないとしています。

ただし、保証人の死亡前に具体的に確定した債務については、相続の対象となります。

通常の保証

連帯保証を含む通常の個人による補償については、現在のところ相続の対象となります。

本来保証については、個人の信頼関係に基づく一身専属的な債務であるため、相続の対象にならないのではという意見もあります。

まとめ

今回はどんな財産や権利が相続の対象となるかを紹介しました。

相続になじまない財産や権利は相続の対象とならないことが原則です。

しかし現状では連帯保証などの個人による補償は相続の対象となっていますので、注意が必要です。

また祭祀財産にまつわる家族間での争いなども起こりうるので、そういった部分でもしっかりとした理解が必要です。

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